バスに乗っていたら、
小学生くらいの姉妹が乗ってきて、
自分の席の後ろに座った。
そのふたり、
車窓の向こうに流れる景色を見ながら、
なにやら、楽しそう。
「あれは、なに?」
「あれは、池!」
「あれは?」
「あれは、電線!」
・・そんなふうに。
突然、たぶん、妹のほう、
ジングルベルを歌いだした。
「もう、クリスマス終わったよー」
「うん、知ってる。でも、好きだから、歌ってる。」
僕は、その会話を聞きながら、
しばらく、ぼーっとして、
そのあと、
じわっと、感情が心に広がるのを感じていた。
いいなぁ・・と。
その妹さんのように、在りたいなぁ・・と。
その姉妹より先に、自分はバスを降りた。
バスは、国道のカーブの向こうに消えていった。
今日も、今いる自分の場所は、とても、いい天気。
あたり一面、人の姿はなく、目に映るのは、さとうきび畑。
砂利道、
自分の足音だけが、こだまする道。
なにげなく、さっき聴いた歌を鼻歌で歌えば、
それは、
世界に、たったひとつだけ響く歌のよう。
野を越えて♪
山を越え♪・・
ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る♪