ツアーは続く。
小田原で歌って、小田原でイベントして、
帰ってきて豪徳寺で歌って、
その次の日に旅の準備とリハーサルをして、
その次の日に札幌行きの飛行機に乗って。
その次の日の昨日は、
久しぶりに散歩配信でもやりたいなぁと小樽へと電車に乗って。
小樽行きの電車からは、途中、蒼い海が見えた。
懐かしいなぁと、時が遡った気持ちがした。
こうして北海道にまた来れて、
歌いに来れて、
本当に嬉しいな・・と、心底、風景を眺めながら思った。
逢えなかったみんなは、元気だろうか。
まだ逢えないみんなは、元気だろうか。
どんなふうに生きていたんだろう。
どんな毎日をすごしているんだろう。
空を見上げたりしてたかな。
歌を聴いてくれたりしてるかな。
小樽駅に降りて、散歩配信をして、
懐かしい道を歩いたりもした。
前に来た時の写真を探してみた。
2020年の1月ぶりの小樽だ。
観光通りは、前と比べて人が少なかったけれど、
その雰囲気と立ち並ぶ店たちは、そんなに変わっていなくて、
元気だったんだね、がんばったんだね・・と思いながら歩いた。
運河から流れてくる小川沿いのところに、
以前訪れたお寿司屋さんが、ひっそりと開いていた。
以前来た時には、カウンター越しの大将といろいろ話したっけ・・と、
お店に入ると、前座った場所と同じ場所に案内された。
お客さんは、自分ひとりだけだった。
ビールを飲んで、つまみを頼んで、
30分ぐらい、静かに飲んだ後、
日本酒を頼むために、大将に日本酒の銘柄をたずねる時、
「何年か前に来たことがあって・・」と繰り出すと、
「あぁ、今、わたしも、少しずつ思い出してたとこなんですよ」と、
大将が言ってくれた。
懐かしさと嬉しさで、いろいろを話した。
ここ何年か、過ぎた日々のことを。
そして、ずいぶんと日本酒を飲んだ。
町がもうすっかりと暗くなった頃、
40分ぐらいで札幌まで帰る電車の便がもうすぐなくなることに気づいて、
駅までの道をすり足で走りながら、電車に飛び乗った。
この便を逃すと、その先の便は札幌まで1時間半ぐらいかかるらしいことを、
あとで知った。
札幌駅を気分良く歩いてると、地下道に並ぶお店たちが、キラキラと見えた。
ついつい立ち寄り、サングラスを買ったり、ポーチを買ったり、
帽子を買ったり・・今朝思い返すと、完全に、旅の魔物に誘われての衝動買い・・。
札幌駅からすすきのに移動して、
こちらもまた以前訪れた・・おでん屋さんに入った。
カウンターの向こう、確かに覚えている、前にもいたお兄さんがおでんをふるまっていた。
結構な人気店らしく、ひきりなしにお客さんが扉を開く。
そのたび、「今、無理ですーー」と、そのお兄さんが応える。
自分、ラッキーだったなぁ・・と、美味しいおでんをふんふんと頷きながらつまんでると、
「気にしないで、ゆっくり食べてってくださいね。日本酒もありますよ」とお兄さんが言ってくれた。
人の優しさに・・弱し。
そして、また日本酒を呑んだ。
帰り道、あまり記憶はないけれど、
狸小路アーケードをフラフラ歩いたように思う。
今朝起きたら、ドンキーの黄色い袋が椅子の上にあった。
中には、ヤンキー漫画の言葉がプリントされたスェット上下が入ってた。
またやっちまたかーーーーーー衝動買い・・・
今日の窓の向こうは、白い空。
旅をしている。
今日から、歌う。
待っていたよ。この日。
ずいぶんと、ごぶさたしてたね。
元気に再会できて、
本当に嬉しいよ。
相変わらず、
日々を生きながら、
こぼれ落ちた想いや言葉を歌にして歌ってるよ。
自称シンガーソングライター・・なんつって。
逢いにきた。
歌いにきた。
逢える日がきた。
歌いにこれる日が、やってきたんだ。
2022年11月、札幌のホテルにて。