今日は、冷たい雨が降る。
静かに、少しずつ、じんわりと黒く街を染めていく。
そして、
枝分かれしていた自分の心の流れも、少しずつひとつになって、
言葉を形作ろうとしている。
明日には、
きみに伝えよう。
ps。
<蝶>
空を飛びたいけどね。
此の街では、空を飛んだら良くないんだと、
飛ぶことはきっと・・やっぱり・・・良くないんだと、
あらためて、天真爛漫に生きてきた蝶は知る。
そうだよ。
自分が飛んだら、
もしかして、
命を落としてしまう者たちがいるんだよって、
語り部たちの話を聞いたんだ。
「だいじょうぶだよ」って昨日胸を張って飛んでいった蝶は、
今日には、街の人たちのたくさんの銃で狙われていた。
自分と一緒に、
空を見てくれようとしてたみんなには、
謝りたいよ。
ごめんなさい。
みんなの未来が平和であるように。
みんなが元気で笑ってすごしていってくれればいい。
今日も明日も、その先も。
壊れた願いのかけらは、大事にしまっておこう。
いつか、きっと届けたいから。
投げかけたところで声は返ってこない空の向こうへ、
それでもどうしても、話しかけてしまう。
この雨は、
いつ、やむんだろう。
唇を結んで、
まずは、
どこか、小さな部屋で、
そっとしていよう。
ぼくと同じように、
飛べない蝶々たちも、
翼をたたんで、どこかの部屋で濡れた夢を見てる。
仲間たちよ、
そのまま飛べなくなってしまわないでね。
きみは、逃げたんじゃない。
挑んだんだ。